Imp(インプ:最小移動生命体)
わずか1行の命令「MOV.I 0, 1」のみで構成される最小のデジタル生命体。自分自身を隣のメモリへコピーし、次の瞬間にそこへ乗り移ることで、脱皮を繰り返しながら8,000マスの円環宇宙を果てしなく行進する。
デジタル生命・解剖図鑑(全5種族)、MARS仮想計算機とICWS-94言語仕様、高等戦術アルゴリズム、必須用語集。
ノイマン型メモリ空間(8,000セルの円環ビバリウム)に棲息する代表的な5大Warrior種族を、「生体器官グリフ(▼ 筋肉・+ 心臓・↺ 神経・❖ 有糸分裂・◉ 感覚器・■ データ嚢・◆ 毒胞子)」と計算機科学の視点から徹底解剖した長編研究レポートシリーズです。
わずか1行の命令「MOV.I 0, 1」のみで構成される最小のデジタル生命体。自分自身を隣のメモリへコピーし、次の瞬間にそこへ乗り移ることで、脱皮を繰り返しながら8,000マスの円環宇宙を果てしなく行進する。
4マスの小さな細胞膜に定住したまま、間接参照ポインタ(@)を触手のように伸ばし、8,000マスのメモリ空間へ4マスおき(Mod-4)に致死性のDAT毒胞子(◆)を撃ち込み続ける「Stone(岩石型)」アーキタイプの始祖。
SPL命令(❖ 有糸分裂)と二重プリデクリメント転写ループを駆使し、自身の完全なクローンを遠方のメモリ空間へ次々と送り出す粘菌・群れ型生命体。単一の急所を持たず、Stone(爆撃機)を圧倒的な物量で包み込む。
盲目的に爆弾を投げるStoneとは一線を画し、比較命令(◉ CMP / SEQ / SNE)という「視覚器官」を進化させた高等捕食者。空のメモリを高速で読み飛ばし、敵の痕跡を検知した瞬間にだけ毒胞子やSPLスタン毒を叩き込む。
DAT爆弾で敵を即死させるのではなく、メモリ空間に「牙(JMPトラップ)」を張り巡らせ、踏んだ敵の実行核(PC)を自陣の「胃袋(The Pit:SPL 0 監禁ループ)」へ強制連行して無力化・洗脳する寄生型生命体。
CoreWarにおける戦場「コア(Core)」は、MARS(Memory Array Redcode Simulator)と呼ばれる仮想プロセッサによって駆動されます。標準のICWS-94ルールセットでは、コアは8,000個の連続したメモリセル(番地 0 〜 7999)で構成され、すべての算術・アドレス計算はモジュロ8000(mod 8000)の円環構造(トーラス状)で処理されます。つまり、番地 0 の1つ前は番地 7999 であり、境界を越えたメモリアクセスは自動的に反対側へ折り返されます。
通常のCPUとMARSの最大の違いは、「すべてのアドレッシングが現在実行中の命令番地(PC: プログラムカウンタ)からの相対オフセットである」という点です。絶対番地が存在しないため、`MOV 0, 1` のようなコードはメモリ上のどの番地に配置されても、あるいは別の番地へ丸ごとコピーされた後でも、まったく同じように機能します(位置独立コード:Position-Independent Code)。また、各命令には `.A`, `.B`, `.AB`, `.BA`, `.F`, `.X`, `.I` という7種類の命令修飾子(Modifier)が存在し、「Aフィールドのみを書き換えるか」「命令全体(オペコード+両オペランド)を丸ごとコピーするか」を精密に制御できます。
定置型ボマー(Stone)やスキャナー(Scissors)を設計する際、1ループごとにポインタに加算する「ステップ幅(Step Size)」の選択が勝敗を大きく左右します。たとえばコアサイズが 8,000 のとき、ステップ幅に `4` や `5` を選ぶと単純なループになりますが、敵のコード長が4セル未満だと永久に隙間をすり抜けてしまいます。そのため競技レベルのWarriorでは、8000と互いに素に近い数値や、黄金比に基づいて空間を均一に分割するステップ幅(例:2365、3039、3359などの「最適Mod-4/Mod-5定数」)が採用されます。
一方、防御と持久戦の極致が「インプ・スパイラル(Imp-Spiral / Imp-Ring)」です。通常のインプ(`MOV 0, 1`)は1セル先の命令に依存するため、進行方向の1セルに `DAT` 爆弾を置かれるだけで即死します。しかし、互いに素な間隔(例:`2667` セル間隔=8001 / 3)で `MOV 0, 2667` を実行し、`SPL` で3点あるいは7点のプロセスを交互に走らせると、1箇所が破壊されても他の頂点から即座に命令が補填される自己修復リングが完成します。これを撃破するには、通常のDAT爆撃ではなく、1サイクルに複数セルを連続デクリメントする専用の「Imp-Gate(インプゲート)」が必要になります。
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