剰余環(Modulo Arithmetic)と最大公約数(GCD)——ステップ幅が支配する探索理論
爆撃間隔(Step Size)を #4 から #2 に変えると、攻撃密度とメモリ巡回速度はどう変化するのか?
Dwarfが「何マスおきに爆弾を落とすか」は、1行目(0000 番地)の ADD.AB #4, $3 の #4 で決まっています。 最初は #4 なので、0003 番地から4マス先の 0007 番地、次は 0011 番地へと爆弾が落ち、その間にある 0005 番地 は飛び越されてしまいます。
🎯 やってみよう 1行目(0000 番地)の A(左の数値) を #4 から #2 に変更して [PLAY] を押し、2マスおきの高密度爆撃(0005 番地と 0007 番地の両方への着弾)を実現しましょう!
1. 攻撃の「網の目の細かさ(密度)」と「巡回スピード」のトレードオフ
Step 20では、Dwarfの1行目(0000番地)にある加算ステップ幅を『#4』から『#2』に変更し、4マスおきではなく2マスおき(0005番地、0007番地、0009番地...)に高密度な爆弾を投下する実験を行いました。
爆撃機(Stone / Bomber)を設計するとき、プログラマが最も頭を悩ませるパラメータがこの「ステップ幅(Step Size:1回に何マス進めるか)」です。ここには明確なトレードオフ(二律背反)が存在します。 ・ステップ幅を小さくする(例:#2):網の目が非常に細かくなり、わずか2行しかない小さな敵であっても逃さず確実に仕留められます(高密度)。しかし、800マスのメモリを一周するのに『800 ÷ 2 = 400発(1,200サイクル)』もかかってしまい、遠くにいる敵に届くまでに時間がかかります。 ・ステップ幅を大きくする(例:#8 や #16):メモリ全体を猛スピードで一周できます(高速巡回)。しかし、網の目が粗くなるため、その隙間(ポケット)に小さな敵がすっぽり入って生き延びてしまう危険が高まります。
Stride #4 (Mod-4): [0003] ──► . . . 💥(0007) . . . 💥(0011) (3-cell safe gap between bombs)
Stride #2 (Mod-2): [0003] ──► . 💥(0005) . 💥(0007) . 💥(0009) (Only 1-cell gap! Dense carpet)2. 円環空間の数学:最大公約数 GCD(CoreSize, Step) の法則
ここで、数論(整数論)の非常に美しい定理を紹介しましょう。 サイズが $N$ マス(Academyでは $N=800$、Laboratoryでは $N=8000$)の円環メモリにおいて、ステップ幅 $S$ で足し算を繰り返したとき、爆弾が落ちるマスの総数と「何マスおきの網目になるか」は、$N$ と $S$ の『最大公約数(GCD: Greatest Common Divisor)』によって完全に決定されます!
・$S = 4$ のとき:$\text{GCD}(800, 4) = 4$ です。したがって、爆弾はちょうど「4マスおき」の200箇所にだけ落ち、200発目で元の 0003 番地に戻ってきます(Mod-4 爆撃)。 ・$S = 2$ のとき:$\text{GCD}(800, 2) = 2$ です。したがって、爆弾は「2マスおき」の400箇所に落ちます(Mod-2 爆撃)。
では、もし $800$ と互いに素な数(最大公約数が 1 になる数)、たとえば『$S = 3$』や『$S = 7$』や『$S = 303$』をステップ幅に選んだらどうなるでしょうか? $\text{GCD}(800, 3) = 1$ となるため、なんと1周目では3マスおきに飛びながら、2周目、3周目と回るうちに1周目の隙間をすべて埋め尽くし、800発でメモリの全800マス(100%の番地)に爆弾を落とすことができるのです!(ただしその場合、800発の中で自分自身の命令 0000〜0002 番地にも必ず爆弾が落ちてしまうため、自爆を避ける高度な終了条件が必要になります)。
3. 現代のトーナメント戦における「最適ステップ幅(Optima Numbers)」
実際のCoreWarの世界大会では、単に『#2』や『#4』のように隣り合う順番で爆弾を落とすのではなく、『#2365』や『#3039』のように、1発ごとにメモリ空間のあちこちへ大きくジャンプしながら、結果的に4マスおき(Mod-4)や5マスおき(Mod-5)の網目を均一に埋めていく「最適ステップ数(Optima Numbers)」という数学的定数が研究し尽くされています。
なぜなら、端から順番に『#2』や『#4』で爆撃すると、すぐ近くにいた敵には一瞬で当たるものの、反対側にいた敵には何百サイクルも届かないからです。たった1つの加算数値(Aフィールド)の裏側に、これほど奥深い整数論と探索アルゴリズムの世界が広がっているのです。
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